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一般財団法人和歌山県医師会

新年を迎えて

和歌山県医師会長 寺下 浩彰

和歌山県医師会長 寺下 浩彰

明けましておめでとうございます。会員の皆様方にはご家族お揃いで健やかな新春をお迎えになられた事とお慶び申し上げます。平素は和歌山県医師会の会務運営に対し一方ならぬご理解とご支援を頂いていることに、また、日夜地域医療の発展、向上にご尽力頂いていることにあらためて心から御礼を申し上げます。

また、昨年は日本全土に於いて、台風 地震をはじめとする自然災害が相次ぎました。被災された皆様には心からのお見舞いを申し上げたいと思います。このように、日頃から備えていても、これで十分とは言い切れない状況であります。特に我が県では南海トラフ大地震の発生がいつ起きても不思議ではない状況とのことであります。県医師会としましても、日本医師会はじめ関係団体との連携体制の強化に努め、訓練等を実施しているところであります。日頃 先生方に協力頂いているJMAT 活動についても、種々の経験の積み重ねにより、JMAT 要綱も改正され、組織の機能強化、役割分担が明記され、より機動力が向上いたしました。更なる発展が期待されるところです。その他、夏の異常高温、大型化する台風等々、地球温暖化の影響なのでしょうか、今までに経験したことがない事が次々と起こっています。地球規模の対策が必要な時期になっているのではないかと思います。世界の動きがそれに逆行しているように思えるのが気になるところです。

さて、今年は4月に天皇陛下が御退位になり、皇太子殿下が御即位される予定であります。大きな時の流れを感じます。平成が「平成の時代」と一言で総括されることになり、「昭和の時代」が益々遠くなります。「昭和の時代」に我々が経験したことをきっちりと次の世代、更に、次の次の世代に伝える責任があると考えます。国家が認知症に陥らないように注意して行かなければならないと考えています。AI が色々な分野で利用されるようになり、我々の生活が非常に便利になり、人間がするより正確に、効率的に行えるようになりました。本当に素晴らしいことだと思います。我々のまわりも、非常に速いスピードで変化しているように思います。こんなものがあればいいなと思ったことが一晩寝れば翌日に目の前に現れるといったスピード感です。まさにドラえもんの「なんでもドアー」の世界です。

我々は正にこのような世界に突入していると言っても過言ではないと思います。昨年来話題に上っている遠隔診療もその一つであります。非常に便利で無限の使い道があると思います。それ故に問題点も予測され、日医はじめ関係部署でその対応について検討されている様でありますが、技術の進歩に議論が追い付いていないように思います。遠隔診療とAI 技術が結びつけば、我々の日々の仕事の中身が大きく変化してくるものと考えます。そして、其の時が来るのは意外と近いのではないかと思います。其の時、自分はどうあるべきかを考えておくのもいいのではないでしょうか。

横倉義武日医会長は昨年の世界医師会会長の総会に於いてユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを支払い可能な費用で受けられること」を提唱し、我が国では国民皆保険制度でこのことが実現されていることを世界に示しました。誠に機を得たことであると考えると同時に、世界に宣言したこの優れた制度を更に強化し、推進して行く責任が益々重くなってゆくと思います。
我々を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。自然環境だけでなく、ICT AIの進化、発展による医療技術の変化も加速度的に進んでくることが予測されます。そのような中、医師の働き方改革が議論されていますが、労働時間の問題だけが注目され、IT化されてゆく世界の中で、今後、我々医師がどのような役割をはたたしてゆかなければならないか、あるいはどのような働きを期待されているのかを考えてゆくことの方が重要なのではないかと考えています。問題を矮小化せず、広い視野を持った、将来を見据えた方向性を求める議論が出来れば有り難いと考えています。そのような場を提供してくれるのが、日本医師会はじめ、各都道府県医師会であり、郡市区医師会であろうと考えています。

医療は社会的共通資本の最たるものであると思います。社会を構成するすべての人々が老若男女を問わず、また、それぞれのおかれている経済的社会的条件に関わらず、そのとき社会が提供できる最高の医療を受けられるような制度的、社会的、財政的条件が用意されている必要があるとの意見があります。私も全く同感です。そのような世界をめざして、最大限の努力をして参りたいと考えています。この分野では我が国はトップランナーであり続けることが可能だと考えています。これこそが国家の品格であると思います。

この素晴らしい、進化したICT AI 技術が、一部の者に独占、悪用されないよう細心の注意を払ってゆかなければならないと考えます。もうすでに個人情報の保護を議論しているレベルではないと思います。想像を絶する個人の健康情報等医療情報がネット上に集積されているものと考えられます。医療の世界の現状を考えた時、経済的基盤に関することがまず注目されることは自然であり、現在のような社会経済情勢の中では特にその傾向が強く出ることは当然でありますが、それだけではいけないと思います。医師のあるべき姿、医療制度の在り方を考え、この素晴らしい国民皆保険制度を堅持するにはどうすればよいか等を真剣に考えるべき時であると思います。そのような場を、機会を、提供できるのが日本医師会であり、すべての郡市区医師会であると思います。その責務の大きさを自覚し、少しでも多くの医師の仲間が医師会活動に興味を示し、参加してもらえるよう、今後も最大限の努力を惜しまないつもりであります。会員の先生方の更なる御理解とご支援をお願いしたいと思います。

それにしても、平成生まれの若い先生方が増えてきます。非常に有り難いことであり、大きな期待をしているところですが、一抹の不安があります。それは多様性の認められたコンピューター全盛時代、「個」を最優先する世代、SNS のみで繋がっている世界を背景に育ってきた世代の考え方が「医の倫理」をどのようにとらえていくか、また、現行の医療制度をどのように捉えていくかということです。このことの予測は非常に難しいと思います。今まで国民皆保険制度にとっての最大の脅威は財政至上主義者であろうと考えて、種々対応して参りましたが、案外、我々の足元にも其の危険が潜んでいるのではないかと考えることが多くなりました。

日々の活動の中で若い先生方との交流を更に深め、我々が共有すべきものは何か、何を残してゆくべきかを共に考えてゆく機会を作って行きたいと考えています。我々を取り巻く状況を考えてみますと、皆保険制度の堅持、新専門医制度 地域医療構想の構築、地域包括ケアシステムの構築 等々、すでに動き出している課題が多くあり、厳しさを増す状況にあります。そして、そのすべてが我々の医師としての生活を大きく変える可能性のある問題ばかりです。大きなパラダイム転換を求められる事態も想像できます。

少子高齢化の益々の進展に伴い社会保障制度の再構築が喫緊の課題となってきている状況の中、我々は国民の命と健康を守るプロ集団として、医師会綱領にもられている国民への約束をきっちりと守って行かなければなりません。そうすることによってのみ、我々に対する国民の信頼を勝ち取ることが出来ると信じます。我々の叡智を結集して対応して行かなければならない課題が多くあります。医療、医学と産業の関係がどうあるべきなのかも真剣に考えなければならない時期に来ていると思います。超高額な医薬品の登場、今後考えられる超高額な医療技術の登場を見据えて、我々が世界に誇る国民皆保険制度がどのように進化、維持できるのかを政治家や、官僚に任せるのではなく、我々も真剣に考えなければならない時が来たと考えています。

人の命に直接かかわるような技術や業績については、原則として、人類共通の財産として共有されるべきものだと思います。我々はこのような問題についても一定の見識を持つことが求められてくると思います。幸い、昨年横倉義武日医会長が世界医師会会長に就任され活躍され、我が国の皆保険制度の素晴らしさを世界に紹介してくれました。

この活動の基盤となるのが、医師としての職業倫理ではないかと考えます。日医の倫理綱領にその精神が織こめられています。一人でも多くの、想いを同じくする仲間の参加を得て、我々、県医師会執行部一同は、よりよい地域医療の発展のため、また会員各位が倫理綱領に盛られた医療活動を安心して続けられるようこれからも頑張って参ります。会員皆様方と共に、県民に健康と安心をもたらすため、世界に誇るべき、皆保険制度を基盤とした地域医療体制を強化、発展させるため力を合わせて頑張って参りたいと考えております。どうか、倍旧のご理解とご支援をお願い申し上げます。

新年が先生方にとって輝かしい、幸せな年になりますよう祈念申し上げ、本年も変わらない御支援、ご指導を頂きます事をお願いし、新年のごあいさつといたします。

 

和歌山県医師会長 寺下 浩彰

 

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