みなさまの保健・医療・福祉の向上を目的とした情報案内
文字サイズ 標準

一般財団法人和歌山県医師会

令和3年度和歌山県医師会事業計画

昨年来の新型コロナウイルス感染症は、世界中で猛威を振るい収まる気配もない。その影響は経済活動にとどまらず、あらゆる分野に及んでいる。国内においては昨年11月から第3波の流行がさらに拡大し、今年1月7日に政府は2度目の緊急事態宣言を発令、13日には地域を拡大して、緊急事態措置を実施すべき区域が11都府県となった。一方、県内では年末からの会食、人の移動等による影響で年明けから流行拡大が続いている。県下医療機関並びに県行政機関・市町村保健所の尽力により、現在のところ入院医療体制は保たれている。今後、感染拡大を阻止する可能性もある新型コロナウイルスワクチン接種体制を速やかに構築することが求められる。

このような感染状況のなか、2020年度診療報酬改定は4月に実施されたが、患者受診行動の変化、コロナ対応等のため検証も行えていない状況である。コロナ感染者を受け入れる入院医療施設、また外来受診抑制による診療所への経営支援措置が診療報酬上でも対応されているが、十分に行き届いていない。地域の医療機関がコロナ禍の中、政府の支援制度等を活用し、医療機関が社会的共通資本として存続していくための対策を県医師会としても共有していくことが必要である。

令和2年度には予定されていた薬価調査が実施され、毎年薬価改定が4月に実施されようとしている。しかし、薬価引き下げ財源から期間限定ではあるが基本診療料に充当された。さらに、昨年12月に政府の全世代型社会保障会議で取りまとめられた「後期高齢者の自己負担の2割への引上げ」、「紹介状のない大病院受診時の定額負担拡大」も今後実施されようとしている。

また、オンライン診療の初診患者への恒久的導入が、医療界におけるポストコロナの新たなる診療様式に対応するツールと考えられているが、利活用する際、我々は医の倫理に則り適切に判断していかなければならない。さらに2025年を見据えた地域医療構想、地域包括ケアシステム、医師確保計画、医師の働き方改革はこのような状況においても重要な検討課題であり、今一度再考すべきである。

一刻も早くコロナ感染症流行の終息に全力を傾け、県民の健康を守りつつ、和歌山県が抱える諸課題の対応に勤め、以下の事業を行っていく。

1.医の倫理

医師は、医療人のリーダーとして高度な知識と技術を習得するだけではなく、それを患者の生き方にどのように役立てるかということを意識して医療を実践して行くことが常に求められている。県医師会は会員に対して、日医生涯教育講座等を通じて医の倫理について学ぶ機会をより多く提供して行く。

2.学術

医師は医療に従事する限り、生涯にわたり専門職としての医学知識・技術を習得する義務があり、診療にあたっては科学的根拠に基づいた医療を行う責任がある。学習は学会や医師会、医学分科会の講演会や研修会への積極的な参加など、さまざまな機会を利用して行われなければならない。また医学の発展に貢献するため研究に努める。

それらを成就するために、かかりつけ医が、プロフェッショナルオートノミーを理念とし、幅広い分野を網羅した日医生涯教育制度を活用して、質の高い医師の自己学習・研修を行う。今後も、新専門医制度と、かかりつけ医による医療提供体制の調和と協力を推進する。

3.医療・介護の連携

県民が安心して良質な医療・介護を受けられるように民意を反映した第7次保健医療計画と第8期介護保険事業支援計画に沿った各種事業を企画し、その実現のため医療・介護資源や医療・介護財源を確保しなければならない。医療介護総合確保推進法成立と共に、やや強引な施策がなされつつある状況下、我々は地域医療の立場から国民皆保険制度を守る。また、介護保険の予防給付の一部が介護予防・日常生活支援総合事業に含まれ、主治医機能を不要とする計画は現場に混乱を来すおそれがある。そのために、地域医療構想における各圏域での調整会議を注視し、地域包括ケアシステム推進の一環として「地域づくり」、2022年度診療報酬改定への取組み、新興感染症等の感染拡大における医療体制など、今後、重要課題を明らかにし更なる有効な対応に努める。

4.地域における医療・保健・福祉・介護

新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの迅速な接種のための体制確保を郡市医師会、県・市町村行政等関係機関と連携協力し、その体制づくりに努める。一日も早く流行を終息させ、そのうえで、県民が安心して健やかに暮らせる公平な地域共生社会を目指す。医療・介護の提供体制の情報収集や更なる充実を図りながら、医師の偏在の解消、医療関係者の労働環境整備に努める。また、母子保健、学校保健、産業保健、高齢者保健の一貫した推進と健康教育の拡充に努める。また、県民の健康を守るため、特定健診・特定保健指導の推進、がん検診の受診率及び精度管理の向上、小児を含む在宅医療や認知症対策、終末期医療等での多職種間の密接な連携推進を図る。

5.情報システム・広報・調査活動

「次世代医療基盤法」等により医療分野でのICTが推進されるなか、令和元年6月には『経済財政運営改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society5.0」への挑戦~』が閣議決定され、生涯にわたる健診・検診情報の予防等への分析・活用を進めるため、マイナポータルを活用するPHRとの関係も含めた対応を整理することとされた。また、令和3年3月からは医療保険のオンライン資格確認が開始されることになっている。県医師会としても、これらに関連付けた医師資格証(HPKIカード)の普及等にも傾注しながら医療におけるICTの推進と情報の共有をはじめとした連携、さらには県民の健康意識の向上及び医の倫理を基盤とする利便性・有益性に配慮した医療情報システムの体制作りを促進させる。また、県医師会ホームページの充実とともに紙媒体を生かした重要な広報伝達の位置づけにある県医報誌のより質の高い紙面づくりを図る。

6.医療の安全確保

県医師会は、医療事故調査制度について、「医療に起因する」「予期せぬ死亡」の判断、事故調査の進め方についての理解を深めるために、県下の医療施設の管理者あるいは医療安全管理者を対象に啓発に努める。

7.救急災害医療

県民が安心できる県下全域における救急医療体制の整備・充実と共に、南海トラフ地震等予想される災害の発生にも可能な限り対応し得る危機管理体制の構築を目指す。

近畿6府県、県内医師会間の相互支援体制を推進し、他団体、行政との協議を深め、災害発生時の対策を詳細に検討、具体化する。

8.勤務医師

地域医療の充実のために、相互協力をさらに密にし、学術・介護・福祉・保健での連携を図る。さらに、医師の働き方改革を念頭に、勤務医の職場環境改善に協力し、研修医等への働きかけや医師会活動の理解と参加機会を多くすることにより加入促進を図り、医師会の組織強化を目指す。

9.女性医師、男女共同参画

女性医師が継続して勤務・就業できる為の環境を整備し、モチベーションを維持しキャリアアップや指導的役割を担う機会の確保・増加を図る。医学生や若手医師の時期よりワークライフバランスやプロフェッショナリズムへの自覚を促す。

指導的立場の方々を含め、男女共同参画社会への意識改革等への働きかけを図る。また、日本医師会女性医師支援センター・女性医師バンクとの連携を強化する。

10.会員福祉

県医師国保組合、県医師信用組合、県医師協同組合との連携を密にし、会員相互の互助・団結を図る。

11. 医政活動

日本医師会の医療政策を反映させるため郡市医師会に働きかけ、医政活動を活性化させ、日本医師連盟の活動を支援する。

12.その他

・再興
・新興感染症対策
・認知症対策の充実
・DVや子どもを虐待から守る対応
・看護対策
・消費税対策
・産業医・産業保健機能の強化

事業計画
事業計画のご案内。
行事のご案内
和歌山県医師会の年行事のご案内。
郡市医師会リンク
各医師会をご紹介をご案内。